[コインパーキンクの少年]
2010年04月21日 (水)
仕事の出先でのことだ。
クライアントのところへ行くため、コインパーキンクに車をとめると、となりの車の助手席に男の子が一人で乗っていた。
親がすぐ戻るのだろうとは思ったが、少年の顔は少し不安げだった。
約三十分後、仕事を終え車に戻ると、となりの車に少年はもういなかった。
親が来たんだなと思いながら、よく見ると助手席の窓は少し開いたまま、ドアロックも上がったままだ。
まさかと思い、僕はあたりを見回した。
案の定、さっきの男の子が泣きながらあたりを見回して歩いていた。
幼稚園の年長さんぐらいだろうか。
大粒の涙をながしながら、車のあるこちらへ歩いてくる。
「どうしたの?」
僕は聞いた。少年は泣きながら答えた。
「パパがいなくなっちゃったの」
相当寂しかったのだろう。それ以降は「パパがいない、パパがいない、」の連呼だった。
すると、向こう側からお婆さんがこちらへ歩いてくる。
お婆さんは僕に向って言った。
「お父さんが楽天のチケット買いに行ったっきり戻ってこないんだって。さっきも車の外に出てたから、中にいるように言ったんだけど、やっぱり外に出ちゃってたんだね。心配になって戻ってきたのよ。」
少年はいつのまにか泣き止んでいた。
「とにかくもう少しだけがまんして、車に乗ってな、ね。」
「そうしないとお父さんが来たときにお兄ちゃんがどこにいるかわからなくなっちゃうでしょ」
少年は、赤い目をしながら「うん」と言って車に乗り込んだ。
時間もなかったので、そこまでしか僕には出来なかった。
そのお父さんにはもちろん憤慨だ。
だが、今日はそのことよりも心に残ったことがある。
それは、帰り際にお婆さんが言ったひと言だ。
「すみません」
それは、まるで自分の孫が世話になったような言葉だった。
僕はその言葉に安心してその場を離れられた。
そして、なんだか嬉しくなった。
「この街には、まだちゃんと『人』が住んでるんだな、うんうん。」
「こちらこそ、ありがとう お婆さん。」
そんなことを考えながら運転してたら…
また嬉しくなってちょっと泣いた(笑)


クライアントのところへ行くため、コインパーキンクに車をとめると、となりの車の助手席に男の子が一人で乗っていた。
親がすぐ戻るのだろうとは思ったが、少年の顔は少し不安げだった。
約三十分後、仕事を終え車に戻ると、となりの車に少年はもういなかった。
親が来たんだなと思いながら、よく見ると助手席の窓は少し開いたまま、ドアロックも上がったままだ。
まさかと思い、僕はあたりを見回した。
案の定、さっきの男の子が泣きながらあたりを見回して歩いていた。
幼稚園の年長さんぐらいだろうか。
大粒の涙をながしながら、車のあるこちらへ歩いてくる。
「どうしたの?」
僕は聞いた。少年は泣きながら答えた。
「パパがいなくなっちゃったの」
相当寂しかったのだろう。それ以降は「パパがいない、パパがいない、」の連呼だった。
すると、向こう側からお婆さんがこちらへ歩いてくる。
お婆さんは僕に向って言った。
「お父さんが楽天のチケット買いに行ったっきり戻ってこないんだって。さっきも車の外に出てたから、中にいるように言ったんだけど、やっぱり外に出ちゃってたんだね。心配になって戻ってきたのよ。」
少年はいつのまにか泣き止んでいた。
「とにかくもう少しだけがまんして、車に乗ってな、ね。」
「そうしないとお父さんが来たときにお兄ちゃんがどこにいるかわからなくなっちゃうでしょ」
少年は、赤い目をしながら「うん」と言って車に乗り込んだ。
時間もなかったので、そこまでしか僕には出来なかった。
そのお父さんにはもちろん憤慨だ。
だが、今日はそのことよりも心に残ったことがある。
それは、帰り際にお婆さんが言ったひと言だ。
「すみません」
それは、まるで自分の孫が世話になったような言葉だった。
僕はその言葉に安心してその場を離れられた。
そして、なんだか嬉しくなった。
「この街には、まだちゃんと『人』が住んでるんだな、うんうん。」
「こちらこそ、ありがとう お婆さん。」
そんなことを考えながら運転してたら…
また嬉しくなってちょっと泣いた(笑)


スポンサーサイト
COMMENT
by シュユ
そうやって色んな大人の人に見守られながら子供は大人になっていくんですね。親の無責任さが気になりますが・・・
こんにちは by sakura
なんだか、ほっとするお話ですね。
まだ、こんないい話が残っているとは。
でも、親の責任はどうなってるんでしょうね。
まだ、こんないい話が残っているとは。
でも、親の責任はどうなってるんでしょうね。